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上顎洞癌になった日から。

若くして上顎洞癌(じょうがくどうがん)という難病になってしまった妻をもつ夫の記録です。 この難病を生活の質を保ちつつどう治療し、克服するのか?この体験記を通じて同じ病気になった人への生きるヒントになれればと思います。

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  • 05/19/01:18

陽子線の効果。

陽子線の照射は平日の月曜~金曜まで、週五回のペースで行い、それに併せて動注療法も毎週金曜、週一回づつ投薬されている。
当初の治療計画通り、順調にスケジュールがこなされていった。

その間、何か特別な変化があるわけでもなかったが、妻は逆にそれが心配なようだった。
陽子線治療自体には、照射されることによる痛みなどの感覚がないので、本当に有効な治療がなされているのか、事前に説明を受けてわかっていたとしても不安になってしまう様だ。
確かに、本人からしてみれば生死に関わるような重大な病気に対して、実際にやっているんだかわからないような治療では心許ないのかもしれない。
しかし、それでもこの治療を信じてやっていくしかない。
私は妻に、大丈夫かどうか聞かれるたびに、「考えられる最高の治療だから大丈夫」と勇気付けた。

入院期間も長くなってくると、治療以外で一人きりでいると、どうも余計なことを考えすぎてしまい、いろいろと不安になってきてしまうらしい。
前回の病院での入院とは違い、気軽に見舞いに行ける距離ではなくなってしまったため、その辺りのフォローが難しかった。
しかし、この病院は病室環境が良く、インターネットも自由にできるため、スカイプを使用することでかなり気が紛れた様だった。

スカイプ(Skype)とは、フリーのビデオチャットソフトで、これをお互いのPCにインストールしてWebカメラを繋げれば、いくら話しても通話料無料のテレビ電話ができるようになるのだ。
これを存分に利用し、子供たちとも大きな画面で顔を見ながら話すことができた。
相手の表情を見ながら会話ができるは、妻の顔色や体調なども確認できるので、電話よりも便利だった。

8月28日。また久しぶりに子供たちを連れて病院まで訪れた。
治療もすでに予定の半分以上を終え、残すところあと一息といった感じだった。
この日は4回目の動注療法による抗がん剤の投与を行う日でもあったが、やはり回数を重ねるごとに副作用が強くなってきてる様だった。
まだ嘔吐するまでではないが、気分が優れずに食欲が出ない状態が続いていた。

そして陽子線治療による副作用も、思いのほか出てきていた。
前回よりもかなり皮膚の赤みが増し、まるで熱湯をかけられたヤケド状態の様で、痛々しいく感じるほどだ。
やはり妻は、普通の人よりも皮膚が敏感なようで、その副作用が強く表れているようだった。
この皮膚の状態は、いずれ治るというが、これで本当に元の状態に戻れるのか不安になってもおかしくないだろう。
だが、照射をしない土日のわずか2日間だけで、かなりの回復をみせる。
それを考えれば、個人差はあれど数ヶ月でキレイになるというのも頷ける話しだった。

ここまでは、腫瘍本体にピンポイントで照射するというよりも、眼球の周囲を含めた大きな範囲で陽子線治療を行ってきた。
そのため、目の痛みなどの副作用も出てきていたが、次の照射からは範囲を狭めた集中的な治療へ移行する。
これで目の痛みなどは回復へと向かうはずだ。

大丈夫だとわかっていても、治療成果がはっきりと確認できるわけでないため、誰もが不安を抱えていた。
しかし、そんな不安をよそに、その治療も残すことろあと僅かに迫っていた。

陽子線治療を開始してから、すでに一ヶ月が経過していようとしていた。
 

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