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上顎洞癌になった日から。

若くして上顎洞癌(じょうがくどうがん)という難病になってしまった妻をもつ夫の記録です。 この難病を生活の質を保ちつつどう治療し、克服するのか?この体験記を通じて同じ病気になった人への生きるヒントになれればと思います。

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  • 05/19/02:33

動注療法の威力。

8月10日。この日『超選択的動注化学療法』による、抗がん剤投与が開始された。
投与される抗がん剤は、TPFなどの多剤併用療法ではなく、『シスプラチン』単体のみだ。
そして、副作用を抑える中和剤としてチオ硫酸ナトリウム(デトキソール)を併用する。
これは、F先生らが行った長年の臨床により、従来使用されていたカルボプラチン(CBDCA)よりも格段に治療効果があることが確認されたからだ。

まず先行して中和剤を腕の静脈より点滴する、その後しばらくしてカテーテルを通して動脈へとシスプラチンが投与された。
副作用は全身投与よりも遥かに軽いとの話しだったが、それがどのくらいのものか予想できなかったため、多少の不安があった。
前回の全身投与を行った副作用の半分程度だったとしても、やはりその苦しみは平常時に比べると辛いものだろう。

その副作用が現れるまで、前回のケースでは半日ほどだったが、今回は丸一日経過しても、それほど急激な変化は訪れなかった。
これはもしかすると、かなり副作用が軽減されているのでは?と期待したものの、それにしては軽すぎる様な気もする、と言った戸惑いも隠せなかった。
しかし、やはり取り越し苦労のようで、2日経過しても、特に気分が悪くなって嘔吐したりなどの大きな副作用はなかった。
多少の倦怠感や気分が優れないことはあったようだが、もしかすると、「副作用の強いシスプラチンを投与した」という気分的なものかもしれない。
とりあえず、思っていた以上に副作用が軽減できることがわかり一安心した。

だが、これから何度も抗がん剤投与を続けていけば、それだけ体内に蓄積され、正常細胞にダメージを与える率も大きくなるはずだ。
それでも、動注療法の効果の大きさを考えれば、可能な限り、限界値まで『シスプラチン』を投与すべきだろう。
日本でも90年代より動注療法の臨床が各方面で盛んに行われており、まだレビデンス(根拠)が確立していないものも多いが、近年になって様々なデータが揃いつつあるのだ。
その中の一つに『シスプラチンの投与量』に関するものもあり、総量450ml以下より600ml以上が治療成績が良いなどの検証結果もある。
妻はまだ若く、回復力もあるため、投与したくてもできない人よりも有利であり、希望が持てるのだ。
ただ、投与を続けることで耐えられないほどの苦痛を伴うようであれば、無理にする必要はないとも考えている。
身体的に「できる」と、精神的に「できる」が両立していなければ、本当の治療とはいえないからだ。



8月12日。世間一般ではお盆休みに入った頃。
私も子供2人を連れ、妻の病院へと来ていた。今回は子供たちが一緒なので車で来たが、7時間ほどかかってしまった。
前日の夜に出発したので、早朝に到着し、マンスリーアパートへと入る。
お盆休みの間はここを拠点に病院へ行き、数日間この地域の周辺を家族で散策するつもりだ。
子供らはここへ来るのは初めてで、妻も前々からずっと楽しみにしていた。
ちょうどこの日は、『陽子線治療センター』への病室が空いたため、隣接する病棟から移動する日でもあった。
これで陽子線治療を受ける際も、エレベーターを降りるだけなので、よりスムーズに受けることができるだろう。

病室に移動して見ると、前の病室よりも広く、新しく、デザインも統一され、病室とは思えないほど洗練されていた。
妻も大変気に入ったようで、これから長い間過ごすには最高の環境といえた。

放射線治療のメリットはいくつかあるが、その中の一つが、治療中でも基本的に日常生活が普通に送れるということだろう。
妻は『動注療法』のためのカテーテルを挿入している状態なので、外泊はできないが、外出は体調さえよければ自由にできる。
髪をおろし、帽子をかぶれば、カテーテルが固定されている部分もわからない。
朝から外出し、近くの観光地などにでかけ、美味しいものを食べたり、子供たちと夏休みを数日間かけて満喫することができた。

8月14日。動注療法は一週間に一度投薬し、それを合計6回行う予定だ。
放射線の照射も併せて行い、その治療効果などによって最大8回までやることもあるという。
今日は初回の投薬から4日しか経過していないが、今後のスケジュールの為か、この日も動注療法による投薬を行った。
今後はこの日から一週間毎に行うことになる。
投薬の間隔が短かったせいか、この日はあまり妻の体調がよくないようだった。
あまり副作用がないとはいえ、中和剤の点滴も含めて数時間もじっとベッドの上で寝ていなくてはならないのは、精神的にも疲れるのだろう。

しかしながら、動注療法の劇的ともいえる効果は、すぐに実感できた。
初回の投与からわずかな時間で、目で見て確認できるほどに腫瘍が小さくなったのだ。
口をあけると、奥歯に大きく腫れた歯茎のように存在していた腫瘍が、明らかに凹んでおり、本人もすごく驚いていた。

この早い段階での効果が、妻の治療に対しての「自信」と「やる気」になれば、良い相乗効果が得られるだろう。
 

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良かった♪

少しご無沙汰です(*^_^*)

治療の成果が目に見えて分かると
本人は辛くとも頑張ろう!って気になるし
周りの家族もとても嬉しいですよね。
お子様達も病院に行かれたそうで
家族水入らず楽しい時間を過ごされた事と思います。

私の方も色々と足掻いておりバタバタしております。
F先生にも診て頂きましたので少し落ち着いたら
またメールの方からお邪魔させてもらいます。

コメント欄なので手短にと思いながらまた長くなってしまいました・・・ゴメンナサイ(>_<")

myo様

ありがとうございます。
今のところ治療も順調に進み、回復の兆しも見えつつあります。
このまま何の問題もなくいけばと思っています。

myo様もこれからがまた大変だとは思いますが、ご主人様にとってよい報告がもたらされる様に願っております。

またいつでも気軽にメールください。
私に出来ることがあればお力になります。

はじめまして

病気のことを調べていたら、こちらのブログを見つけて思わずコメントしてみました。
実は私の主人も同じ病気で、今日から抗がん剤治療が始まりました。
これから先のことを思うととても不安な毎日です。
なのでこのブログを見てとても励まされました。

これから副作用で辛い日が続くと思いますが、主人を支えながら頑張りたいと思います。

  • 2009年09月29日火
  • aya
  • 編集

aya様

はじめまして。
返事が遅くなりすいません。
ご主人が同じ病気だということで、aya様の今の心境がよくわかります。
まだ治療し始めで、これから先のことがまだ明確にわからず、自分が何をすべきか戸惑っていることと思います。
もう治療方針は決定しているのでしょうか?
いろいろな可能性の中から、最も良いものを選択できればいいのですが、どんな治療であろうと、ご本人、ご家族が納得していればそれが一番だと思います。

ご主人はもちろんaya様も大変な日々が続くと思います。
どうかお身体に気を付けて困難を乗り切ってください。

(何かお力になれることがありましたら、遠慮なく言ってください。メールでのご相談でも構いません。)

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