忍者ブログ

上顎洞癌になった日から。

若くして上顎洞癌(じょうがくどうがん)という難病になってしまった妻をもつ夫の記録です。 この難病を生活の質を保ちつつどう治療し、克服するのか?この体験記を通じて同じ病気になった人への生きるヒントになれればと思います。

NEW ENTRY

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • 05/06/02:20

検査後の考察。

9月13日。前日の検査結果について、今後のことも含めいろいろと考えていた。
妻が『上顎洞癌』と診断されてから、どんな病気か、どんな治療法がいいか、散々調べてきた。
そして、現在の治療方法へと辿りつき、それを行うことでQOLを維持しながら根治が目指せると思っていた。
しかし、それは通常の『上顎洞癌』の場合であって、今回のケースでは話が違った。
ということは、選択を誤ってしまったということなのだろうか。

私は、ここに至るまで何か見落とした部分はなかったか、過去の出来事を一つ一つ思い返していた。

まず初期症状として表れたのは奥歯の痛みだった。
痛みが出始めてからは、急激に腫れが大きくなった。
近所の歯科医院から市民病院へと紹介され、精密検査を受け、生検の結果『良性腫瘍』と判断された。
今思い返せば、この診断結果も全てが間違えではなかったのかもしれない。
歯科医が診察する口腔内での腫瘍は、そのほとんどが歯原性の良性腫瘍といえる。
歯原性腫瘍の種類によっては、骨破壊や局所浸潤がみられ、一見すると悪性と判断されがちな腫瘍もある。
市民病院での生検には3つの可能性が記されており、そのうちの一つとして『悪性とも良性ともとれない』といったような結果があり、画像所見で歯原性と判断していたのでそれを支持したのだろう。

だが、腫瘍の全てが良性だったわけではなく、一部が悪性腫瘍であったことを考えると、ここでの治療を断ったのは間違った判断ではなかったのだと思う。
しかしそれにしても、もし埋没歯による歯原性の腫瘍だと結論付けていたのなら、そのことを伝えて欲しかった。
それを知っていたら、病気について調べる際に、もっといろんな可能性を考えて調べられただろう。

市民病院の次に訪れた『がんセンター』ではどうだっただろうか。
初診の際に、CT画像をみながら医師らが話し合っていた言葉の中に「石灰化がみられる」と言っていたのを覚えている。
数多くの症例と実績を誇る癌専門の病院だけに、様々な種類の腫瘍を診てきたはずだ。
この段階でいくつもの可能性を考えていたに違いない。
その中から、生検結果を確定材料として今回の『上顎洞癌』という診断となったのだろうが、果たして『歯原性腫瘍』については全く可能性を考えなかったのだろうか。
もしかしたら治療方針が外科的手術であったため、どちらであろうと大差ないと考えていたのかもしれない。
また逆に、どういった腫瘍か細かな断定ができないと判断したから、外科的手術を推奨していたのだろうか。
『がんセンター』の放射線医に意見を聞きに行った際、外科手術以外の治療に否定的な反応だったのはそれを知っていたからなのか。



だが、そうだとしても腑に落ちない点がいくつもあった。
歯原性良性腫瘍の一部悪性化であれば、遠隔転移はまずないと考えていいだろう。
ならば全身投与による抗がん剤2クールを行うのは、あまり理にかなうとは思えない。
それに、治療を行っていくうえで、そういった可能性があると一言も説明がないのもおかしな話しである。
外科的手術を推奨するなら、そういった複雑な腫瘍であると説明すれば同意も得られやすいはずだ。
更に、結果として陽子線治療を選択したときに、そういった可能性があると知っていたのならば、F先生に対してその旨説明があったはずだ。
そうすれば今回のような結果に対して、ある程度の予想もできただろうし、もしかしたら最初からの治療方針さえ違ってきていたかもしれない。

いずれにせよ、もすでに治療は終盤を迎え、残すところ数回の照射とだけとなっている。
元が何であれ、悪性腫瘍は存在し、それを治療しなければならなかったことには変わりない。
そして、それには今回の治療が外科手術以外の選択肢の中では最適だったと思う。

どこからが良性腫瘍で、どこまでが悪性腫瘍かは現段階ではわからない。
今回の治療によって、いずれ悪性部分が死滅し、正常細胞に淘汰されるだろう。
良性腫瘍部分は残存するが、増殖による拡大が見られなければ特に気にする必要はない。
というのも、歯原性腫瘍の多くは、発生しても自覚症状がないため、気づかないまま放置され、そのまま生涯を終える人も珍しくはないからだ。

歯原性腫瘍にもいくつか種類があるが、それも現段階ではわからない。
発生部位やその症状からある程度の予想はつくが、確定させるためには詳しい検査をしなければならないだろう。
しかし、いくつかの場所から細胞組織を採取し、生検することで、良性腫瘍の範囲や種類が判明するとしても、できることなら直接腫瘍を刺激するようなことはしたくない。
そうしなければならない状況になればそうするだろうが、今は刺激することが良い結果に繋がるとは思えないからだ。
 

とにかく、今はしばらく経過を見守るのが一番だと思う。
それは単に、治療後の様子を見るというだけではなく、やっと長い治療を終えた妻のメンタル面を考えてのことだ。

放射線治療による副作用の苦しみだけではなく、遠い地で2ヶ月間一人で戦ったのだから、心身ともに疲労していることだろう。
やっとひと段落つくのだから、しばらくはゆっくりとした休息が必要だと思う。

 

PR

無題

主サンはじめまして 奥様の具合 いかがですか
切らずに治す
キーワードにブログ探して主サンのに到着しました。

  • 2009年11月15日日
  • もし
  • 編集

応援します

MOT様。奥様との二人三脚のご闘病の様子、心から応援いたします。がんばっておられるご様子に、思わず応援の書き込みです。
 この病気についての情報や患者の情報は、医療用のホームページや、口腔癌の医療サイトなどでしか、見つけることができないから、ご苦労されているのではないかと存じます。。本当の闘病の経験者は、あまり書き込みとかも無いのではありませんか?
 かつて、この病気で母を亡くした私は、今までどこにも投稿してきませんでした。有益な情報をお知らせできないことがつらく感じるからです。だけど、上顎癌の病名から失礼ながら書き込みさせていただいてしまいました。
 かつて私も、闘病の実際を知りたくて、いろいろなサイトを渡り歩いたものです。 この病気は、MOTさまのおっしゃるとおり、キュアを目的とするかQOTを目的とするかの究極の選択を余儀なくされます。それも、時限つきで・・・・。その辛さは、おそらく本人・家族でなければわかりえないものがあると存じます。
 母の告知には、私が同席しました。結婚するまでは、看護士をしていた私にとって、彼女への告知は必要以上に私自身へのダメージとなりました。なぜ、母の病気に気づかなかったのかということにです。医療者側である、友人たちはこの病気の発現の遅さを知っていますから慰めてはくれましたが、そのころの私は、さらに追い詰められていました。なまじ素人ではない私に対する母の信頼は、重すぎるほどに重かったのです。医師に「助けてください」と泣きながら訴えたことを覚えています。あなたにとっては1患者である私の母は、私にとっては唯一無二の存在なのです。
知りえた情報は、ステージ・グレード、予測できる病態、治療法、そして予後まで・・・。調べに調べて、どうしてもほしい情報はわかりませんでした。それは、その治療を受けた患者の生活レベルでした。「治るかもしれない」治療を選択したその後の生きた情報がほしかった。そうしたら、それにかけるトリガーが引けるはずなのです。あせりました。時間が無い!医師を信用していないわけではありません。当然、治療成績のよい選択を提示してくれていますが、ペシエントの希望するのは、そのようなことだけではないはずなのです。結局、母の治療は、ゴールドスタンダード、(手術、放射線、抗がん剤)でした。放射線治療時では、口腔内のやけどが主症状でした。我が家には今も、アロエベラが青々と生えています。軟膏を口腔内に塗るのを嫌った母のために用いました。民間療法を嫌っている私ですが、(笑)ま、毒ではないし・・と使ったら、治らないまでも爽快感はあったようです。症状が楽になる方策をお探しになると言うのもよいかもしれません。
 これからもMOTさんは、さまざまな二者択一の場面に遭遇していかれるかと思います。インフォームドコンセント、自己決定を尊重して、奥様を支えられていかれるのでしょう。母の同室者は緩解されましたよ。この病気は、決して治らないものではありません。むやみに気を落とすことが無いようにしてください。病気にかかったことで浮いたり沈んだりすることが、普通よりちょっと多くなるだけなのです。がんばらなくちゃ・・から、時には自分を解放して、奥様や子どもたちと楽しむことをおすすめします。
 決してあきらめることなく、いろいろなことに挑戦して、ほしい未来を現実にできるよう、心より祈念いたします。長々と失礼いたしました。

感謝します。

よどきり様
応援コメントありがとうございます。
そして、貴重な体験を語っていただき感謝いたします。

私が一番重要視しているのは、『後悔しない』ということです。
未来のことは誰にもわかりませんから、その時は最善だと思っていたことでも、他の選択が正しかった可能性もあるかもしれません。
ただ、そうだとしても、「後悔していない」と言える自分でありたいと思っています。

なかなか難しいことだとは思いますが、幸いなことに、そういう意味では今のところ順調かもしれません。

まだゴールは見えない状況ではありますが、確実に前に進んでいると思っています。

また近々、現在に至るまでの詳細をお話しできればと思っております。

URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら