忍者ブログ

上顎洞癌になった日から。

若くして上顎洞癌(じょうがくどうがん)という難病になってしまった妻をもつ夫の記録です。 この難病を生活の質を保ちつつどう治療し、克服するのか?この体験記を通じて同じ病気になった人への生きるヒントになれればと思います。

NEW ENTRY

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • 05/05/21:43

抗がん剤治療の開始。

6月10日。入院から2日後、いよいよ初めての抗がん剤治療が始まった。ここの病院での治療方法は、まず副作用の比較的少ない『5-FU』から投薬を開始し、最後に最も効果的とされている『シスプラチン』を投薬する。
『シスプラチン』の副作用はその症状が重く、投薬後も個人差はあるがおよそ5~10日は点滴などによる入院管理が必要とのことだった。
私は抗がん剤治療による化学療法についても、その薬剤名を含めて調べていた。
よくドラマでは副作用として激しい嘔吐や、髪がどんどん抜け落ちていく様が見られるが、多少大袈裟な表現があるにしても、大体はそんな感じらしい。
妻もそんな副作用のイメージからか、かなり不安があったようだ。しかし、いざ始めてみると意外にも副作用らしい症状は現れず、本人も拍子抜けしたようだった。
それもそのはず『5-FU』は他の抗がん剤に比べると副作用あまりないのが特徴で、昔から様々な癌に用いられてきた最もポピュラーな抗がん剤である。
それ単体での使用よりも、癌の種類によって他の薬剤と併用することでより効果を発揮するタイプの抗がん剤なのだ。
その中でも『5-FU』『シスプラチン』は、近年の頭頸部癌においてよく用いられる2剤併用法だった。

『シスプラチン』は逆に副作用が強く現れることが有名で、激しい嘔吐や脱毛が特徴的だ。
しかも決定的な弱点として、強い腎毒性による腎不全などの腎臓機能の障害があった。
そのため腎臓機能が弱いと投与することすらできないのだ。これは特に高齢者に多いことらしい。
幸い妻の腎臓機能は医師から100%大丈夫とのお墨付きをもらったので、投与できないという事態は避けられた。
しかし、それでも腎臓障害を防ぐためには、大量の水分や利尿剤を同時に使用するなどし、腎毒性を軽減する処置が必要だった。
これだけ強い副作用や、障害を起こすリスクがありながらも使用するのは、それだけ大きな腫瘍縮小効果が望めるからだ。

6日後に投薬される予定の『シスプラチン』。思ったよりも副作用がないと安心していた妻に、その詳細をまだ教えることは出来なかった。
 

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら