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上顎洞癌になった日から。

若くして上顎洞癌(じょうがくどうがん)という難病になってしまった妻をもつ夫の記録です。 この難病を生活の質を保ちつつどう治療し、克服するのか?この体験記を通じて同じ病気になった人への生きるヒントになれればと思います。

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  • 05/19/04:37

希望的化学療法。

6月14日。私は早速担当医に相談してみることにした。
すでに抗がん剤の全身投与による治療が始まっているため、予定通り1クール終わらせて、次の2クール目から『動注療法』を開始して欲しいとお願いした。
しかし、担当医師の口からは否定的な言葉しか出てこなかった。
医師としてはより根治性を増すためにも、見えざる癌細胞を叩くことを目的とした全身投与がしたいとのことだった。
確かに今のところ遠隔転移はないとされているが、検査では確認できないほどの微細な細胞がどこかに潜んでいる可能性は0とはいえないだろう。
そこで私は通常の『動注療法』での使用薬剤である『シスプラチン』『5-FU』に加えて、つい最近使われるようになった『タキソテール』(ドセタキセル)を加えた3剤併用法を提案した。これはそれぞれの薬剤イニシャルより『TPF療法』とも言われていた。
『タキソテール』は乳がんなどでよく使用される抗がん剤だが、頭頸部のがんに対しても効果があることがわかってきている。
特に『動注療法』において、他の2剤は中和剤により全身に効果が及ばないのに対し、『タキソテール』は中和されないので遠隔転移した腫瘍にも効果があるのだ。

それでも担当医師は『TPF療法』による副作用の強さや、『動注療法』のカテーテル挿入で血管を傷つけると、外科手術や再建リスクが高まってしまうということを理由に、全身投与を続けるべきだという意見だった。

しかし、副作用については『シスプラチン』の全身投与に比べれば大したことはないはずであり、カテーテル挿入に関してもそこまで血管が傷つくとも思えない。
それに現段階でこの治療法を提案するということは、明らかに外科的手術ではなく放射線治療を望んでのことだ。
つまり担当医師はあくまでも外科手術をする方針を変更するつもりはないようだった。確かに『根治』を考えるなら確実性に勝る外科手術なのだろう。
担当医師としては完全に治すことがその使命であるのだから当然の選択だと思う。
しかし、もう少しQOLを考慮して欲しいと思った。



私はそう考えながらも、今回は担当医師のいうように、全身投与による2クールをこなすことに同意した。

それは局所投薬による『動注療法』は、実際に放射線治療の際に併せて行うことがより効果的であった為、2クールが終わったあとの方が逆に良いだろうと考えたからだ。
しかも、今回はリンパ節転移は確実にしているため、その制御も必要だと思っていた。
そのためには『タキソテール』だけではなく、『5-FU』『シスプラチン』を全身投与をすることで、より確実なものとすべきと判断したのだった。

そして、まだこの段階では、放射線治療における専門家に、直接意見を聞いていなかった。
もし複数の専門家が全員口をそろえて「外科手術でしか助からない」と判断した場合、生きるためには外科手術をせざるを得ないのだ。

後日、私は担当医に、ここの放射線科医の意見を伺うべく、直接話が出来るように取り計らってもらうことにしたのだった。

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切ってしまう前に

奥様の病に、真剣に立ち向かう姿に、感動してます。
また、旦那様の選択に、全てを委ねる奥様にも、旦那様への、絶対の愛と信頼感じます。
さて、私も、頭頚部に、悪性腫瘍を持つ者です。
メスによる切除の前に、重粒子線による、治療は考えられませんか?
重粒子線の治療は、頭頚部には有効だと聞いています。
高度先進医療で、数百万円かかりますが、奥様のこれからの、人生を考えたら、安いと思います。
奥様の癌に適応するかどうかはわかりませんが、外科手術の前に、選択肢に入れていただけたらと思います。
切ってしまってから、後悔しても遅いと思います。
私は50代ですが、顔に傷を作るのを躊躇して、樹粒子線治療を考えています。
奥様の年齢を考えると、切ってしまう前に、あらゆる可能性を試して欲しいと思います。

  • 2009年08月24日月
  • ねねまま
  • 編集

コメントありがとうございます。

「ねねまま」様
ご意見ご感想をどうもありがとうございます。

まず最初に結論だけ申しますと、今現在すでに最終的決断をした治療が終わろうとしています。
このブログの進行状況は、日付からもわかるように過去の出来事から掲載しているからです。
このブログ記事内の日付が7月半ばになる頃には、その最終決断がされた内容になり、どうなるかがわかると思います。
現在の状況にはやく追いつくようにと毎日更新していますが、なかなか時間が取れずに思うように進まない状況です。

さて、内容を読み返して頂ければわかると思いますが、いくつかの選択のうちの一つとして『トモセラピー』が出てきたにすぎず、その時にはすでに粒子線治療も考えておりました。それからも数多くの症例からその可能性を探り、各施設に関しても直接連絡するなど詳しく調べてデータを集めました。

「ねねまま」さんが現在どの様な症状かわかりませんが、重粒子線治療を考えているなら、そのことに関してある程度は情報提供ができると思います。
例えば、重粒子線施設は今現在2つしかありませんが、陽子線ならばまた選択肢は広がります。
同じ設備だとしても、医師はもちろん治療法が違います。ともすれば、もっとも重要な根治の可能性さえ違うわけですから・・・

慎重に選び、「ねねまま」さんの症状にもっとも合ったベストな施設、医師、治療法が見つかりますように心から願っています。

ありがとうござます

ご丁寧なお返事ありがとうございます。
ここに書かれている事は、今に至るまでの、経過ですね。
現在では、すでに治療方針は決められ、治療も進んでいるのですね。
短期間にあらゆる情報を取り寄せ、より良い選択をされた事で、最良の結果が得られる事と信じております。
奥様のご回復をお祈りしております。

  • 2009年08月25日火
  • ねねまま
  • 編集
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