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上顎洞癌になった日から。

若くして上顎洞癌(じょうがくどうがん)という難病になってしまった妻をもつ夫の記録です。 この難病を生活の質を保ちつつどう治療し、克服するのか?この体験記を通じて同じ病気になった人への生きるヒントになれればと思います。

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  • 05/18/23:08

放射線治療の可能性。

7月8日。この日は、現在治療を受けているこの『がんセンター』の放射線科医に、今後の治療方針についての意見を聞くことになっていた。
以前から放射線治療について様々なことを調べてはいたものの、実際に現職の専門家に意見を聞くのは今回が初めてであった。
調べている中で思った細かい疑問点や、実際に経験した中での意見を聞けるのを楽しみにしていた。

ここの病院では、以前書いたように『動注化学療法』『トモセラピー』による併用療法が好成績を収めており、私達にとって希望的な話が聞けると期待していた。
だが、この後の話し合いで今までにない衝撃を受けることになる。

その日の夕方、最後の診療を終えた医師のもと、話を聞きに放射線科まで出向いた。
妻と二人で部屋に入り、CTなどの資料を見ながら考えをまとめている医師の言葉を待った。
まずはこちらの考えや、方針は語らず、その医師の率直な意見を聞こうと思ったからだ。

なかなか言葉が出てこない医師だったが、険しい顔をしながらもポツリポツリと話し始めた。
それらの言葉をつなぎ合わせ、まとめるとこうだ。

●まず、初見は大変珍しく放射線治療によるイメージがつかめない。
●よって治療を施したとしても治るとは思えない。
●少なくとも自分の経験上からは難しい。
●放射線科医ではあるが、外科的手術をした方が良い。

などという、何とも否定的な言葉ばかりに正直驚きを隠せなかった。
確かに、妻の『上顎洞癌』という病気は、一般的に男性がなるもので、特に50代~がほとんどである。若い女性がなる例は珍しいといえるかも知れない。
しかし、だからと言って、癌細胞自体は扁平上皮であり、最もポピュラーな分類に属するものだ。
頭頸部は放射線が比較的利きやすく、扁平上皮癌も根治性は外科手術と大差ないパーセンテージまで上がってきているはずなのだ。
その点について聞くと、「とにかく初見が珍しいので何ともやってみないとわからない」と言うばかり。
そこで、今一番外科手術以外で可能性のある『動注化学療法』(TPF含む)『粒子線治療』について聞いてみる。



「動注は以前はよくやっていたんだけど、ここの部長が変わってからは滅多にやらなくなったな~」
「前の部長は動注で有名になったような人だから、それこそイケイケで誰でも動注みたいな感じでやってたんだよね」
「今はもう流行ってないから、どこの病院もあまりやってないと思うよ」
「でも本人が希望すればやらないこともない」
「重粒子はここからも紹介状もって行った人がいたけど、あんまりその後よくないね・・・」
「たしかに重粒子は威力があるけど、そのかわり外科手術と同じで顔の中にポッカリ穴あくよ」

どれもこれも信じがたい言葉だらけだった。
本当にこの病院の放射線科医なのか疑わずにいられなかった。
もしかしたら、外科医に頼まれてわざと放射線治療をする気をなくさせようとしてるだろうか、などと勘ぐってしまうほどだ。
挙句には「ものすごく詳しいようですけど、もしかして医療関係の方?」などと聞いてくる始末。

結局、この医師の結論として『今まで自分が診てきた中では珍しい分類のものだから、やってみないと治るかどうかわからない。だから確実に除去できる外科手術の方を勧める。』ということだった。
更には「まぁ奥の手があるといえばあるんですが・・・」「どうしてもうちで治療したいっていうならやりますけど・・・」と言いたい放題で、正直もうここで何も聞く価値はないと思った。

『奥の手』が、一体何か聞いて欲しかったのだろうか、何度か口にしていたが、もうそんなものには興味がなかった。
大方の予想はついていたし、『どうしてもやって欲しいならやる』的なことを言うような医者には、こっちからお断りだった。

言いたいことは山ほどあったが、私たちは早々に話を切り上げ部屋を後にした。

率直な感想を言えば「あきれた」の一言だった。
何一つ得るものがなかったことに、期待してた分ショックでもあった。

だが今回の件でかえって大きな決断をすることができた。
それは放射線治療の中で最も期待している『粒子線治療』に的を絞って考えるということだ。
この病院を離れ、専門の施設で治療することに決めたのだ。

もうすでに『重粒子線治療』をするならここ、『陽子線治療』ならここかここ。と、ある程度決めていたが、どれか一つに絞るにはまだ判断材料に乏しく、決め手に欠けていた。

そこで、また再度『施設・治療法・医師・場所』など踏まえて考え、どこに治療を任せるのが最適か、更に詳しく調べることにしたのだった。

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